アルベルト・アインシュタインの論文を読む

アインシュタインの論文に関する独断と偏見に満ちた読後報告です。

余談(その4)

 クォークのカラー荷は三原色 R, G, B に例えられます。そして観測にかかるハドロンとメソンを構成するクォークのカラー荷の和は無色であるとされます。この無色のことを零と表現したりもします。


 一方、クォークは分数の電荷をもち、ハドロンやメソンはもつ電荷はそれを構成するクォークの電荷の総和であるとされています。これをヒントに、例え話ではなく、クォークと反クォークがもつカラー荷というものを数で表せないかを考えてみます。三原色ということから連想されるのは、円分方程式 z^3 = 1 の解としての立方根ではないでしょうか。そこでこれに似たものでカラー荷として複素数を割り当てることについて考えてみます。ハドロンは3個のクォークからなり、カラー荷の和は無色のカラー荷 0 となるいうことです。電荷はフレーバーとハイパーチャージの量子数から構成されるので、カラー荷は加法的な量子数であると言えます。従って、R の補色を CG の補色を MB の補色を Y とすると


RGB = 0,   CMY = 0


であるはずです。メソンは互いに補色の関係にある1個のクォークと1個の反クォークからなり、カラー荷の和はやはり無色のカラー荷 0 となるということですから、


R + (-R) = RC = 0,   G + (-G) = GM = 0,   B + (-B) = BY = 0


であると考えられます。従ってここで誤解を恐れず、カラー量子数として複素数を


R = 1 + (√3/3)i,   G = -1 + (√3/3)i,   B = -(2√3/3)i


C = -1 - (√3/3)i,   M = 1 - (√3/3)i,   Y = (2√3/3)i


と割り当てると、上の関係式は満たされます。これらの複素数は立方根ではありませんが意図的に選んであります。


 さて、グルーオンはカラー荷を運ぶゲージ粒子です。グルーオンが、R の補色 CG の補色 MB の補色 Y を組み合わせて、6色のグルーオンが作れます。


RM = {(1/2) + (√3/6)i} + {(1/2) - (√3/6)i} = 1


RY = {(1/2) + (√3/6)i} + (√3/3)i = (1/2) + (√3/2)i


GY = {-(1/2) + (√3/6)i} + (√3/3)i = -(1/2) + (√3/2)i


GC = {-(1/2) + (√3/6)i} + {-(1/2) - (√3/6)i} = -1


BC = -(√3/3)i + {-(1/2) - (√3/6)i} = -(1/2) - (√3/2)i


BM = -(√3/3)i + {(1/2) - (√3/6)i} = (1/2) - (√3/2)i


 従ってこの色を持つグルーオンを放出したり吸収したりすることによってクォーク反クォークはカラー荷を変えることになります。ここで、RM の補色は GCRY の補色は BCGY の補色は BM であることがわかります。しかしグルーオンは8個あるとされていますので、カラー荷を持たないグルーオンが2個存在することになります。


 この事情は弱い相互作用でも同じです。ハイパーチャージのU(1)を無視して、ウィークアイソスピンのSU(2)だけを考えます。今世代混合がないとすれば、(u, d), (c, s), (t, b) はそれぞれの2重項の間でウィークボゾン W^± を交換してフレーバー荷を変えますが、ウィークボゾ W^0 を交換してもフレーバー荷を変えないのと事情が同じであると考えられます。


 ところでクォークが単体で取り出せない以上、カラー荷は観測可能ではないので、複素数の量子数と考えても困らないのですが、気持ち悪い事も否めません。加法に従う数であることだけに着目すれば、ガウス平面上で原点からそれぞれのカラーを示す複素数に向かう2成分の位置ベクトルを考えれば、実数ベクトルに置き換えることもできます。これはまたルートベクトルとウエイトベクトルに他なりません。


 妄想はこの辺にしておきます。

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