アルベルト・アインシュタインの論文を読む

アインシュタインの論文に関する独断と偏見に満ちた読後報告です。

1905年の論文「分子の大きさを求める新手法」(その12)

 ここにきて四苦八苦しながらも何とか標記論文の第3節までを読み終えることができました。続けて第4節 4. 溶液中で解離しない物質の拡散について を読みます。第3節で論じた溶液を再び考察します。分子が半径 P の球であると考え、それに力 K が作用してその分子が速度 ω で動くとすると、その速度は半径 P と溶媒の粘性係数 k によって決まることが知られています。これは有名なストークスの抵抗法則 …

1905年の論文「分子の大きさを求める新手法」(その11)

 第3節では、第2節の結論を応用することを考えます。標記論文の第3節 3. 溶媒にくらべて大きな分子体積をもつ溶質の体積について を読みます。溶液中で解離しない物質を溶かした希薄な溶液を考察します。溶質の分子の大きさは溶媒簿分子の大きさより大きいものとし、溶質分子を半径 P の剛体球とみなすことにします。すると第2節での考察結果を応用することができます。このよう液の粘性係数を k*、溶媒だけの粘…

1905年の論文「分子の大きさを求める新手法」(その10)

 液体と剛体球が不均一に混じりあった混合物の変形速度テンソルから混合物の膨張運動の主軸の値を求め、それから混合物の粘性係数を計算しようとしていました。ということで標記論文の第2節 2. 不規則に分布する小球がきわめて多数浮かんでいる場合に,液体の粘性係数を求める の続きを読んでいくことにします。 u_ν = -{5P^3/2(ρ_ν)^5}ξ_νJ_ν v_ν = -{5P^3/2(ρ_ν)^5…

1905年の論文「分子の大きさを求める新手法」(その9)

 標記論文の第1節を読むのに長大な時間を要してしまいました。物理学の方程式を考察状況に合わせて解き、解を得るということがとても大変であることを学びました。考察状況を正しく反映する諸条件を設定するだけではなく、利用する座標系の選び方、意味ある結果を得るための近似その他重要なことがたくさんあることがわかります。ともかくも液体領域内の剛体球が散逸エネルギーに与える影響を計算するところまでは読み進むこと…

感謝とお礼に代えて

 このブログを開設して以来、細々と投稿を続けて1年が過ぎました。1年程度のことでと失笑されてしまうかもしれませんが、ずぼらな私にしてはよく続いたものだと思います。私の古くからの友人によれは、これだけガチの内容では読む人はいないだろうとのことでしたが、まずはこのつたない文章を読んでくださった方々にお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます。  さて、ニュートンと並び称される偉人アインシュタ…